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z105 (09月22日) 動物を使う慣用句(3)


go to the dogs 「破滅する, 落ちぶれる, だめになる」


直訳: 犬になる
例文:  They say the baseball team has gone to the dogs because they are negligent of raising young players, occupied in buying star players from other teams.
他のチームからスター選手を金で買うことに専念し若手選手の育成を怠ったため, その野球チームは落ちぶれたと言われている。


go to the dogs をそのまま「犬のところに行く」と取るとなぜこれが「破滅する」となるのかわかりません。 この慣用句の go to 〜 は「ドコドコへ行く」ではなく go to ruin 「廃墟と化する」 go to pieces 「粉々になる」 に見られる「ある状態に行きつく,なる」という意味で捉えばよいと思います。 前回の lead a dog's life で触れたように dog が「悲惨な者」を表すことと合わせれば go to the dogs が「破滅する, 落ちぶれる, だめになる」の意味になるのは合点が行くのではないでしょうか。


この項については2018年9月に小川様より以下のメールをいただきました。
ご指摘ありがとうございました。
 説教師のジョン・フラベルが1669年に書いた
「そのように残酷に利用されて彼らは解体され、溝に投げ入れられてイヌの餌になった」
John Flavel, "Husbandy Spiritualized", 6th. ed., p.206
からきているようです。
溝に捨てられたのは、当時酷使されていた馬で、死んだ後、かろうじて利用価値のあった皮を剥ぎ取られた後に溝に投げ捨てられ、周囲の犬に食われた状況があったようです。




現実の使い方をウェッブ・ページで見てみるとこの慣用句を踏まえた一種のシャレで使っている例に出会いうことは少なくありません。 どれもペット絡みの記事です。  いきなり ○○ has gone to the dogs 「○○は落ちぶれた」と始まるので一瞬読者はドキッとして先を読みたくなるという効果を狙っているのでしょう。 これらの場合 go to the dogs は「犬に(ペットに)走っている」という意味合いと取ることができます。


例1: アメリカ人はペットを多く買い, ペット産業が大きなビジネスになっていることを伝える記事。
America has gone to the dogs… and the cats, horses, reptiles, fish, birds, you name it. We own 360 million pets, and they are big business.



例2: ヤフーがペットフード会社と組んでペットの世話のマルチメディアサイトを作ったことを伝える記事。(一部改)
Yahoo has gone to the dogs. The Web portal giant and a  pet food company introduced a new multimedia site offering pet care tips.


例3: 任天堂のバーチャル・ペット・ゲームが売れていることを伝える記事。
Nintendo has Gone to the Dogs. The Nintendogs virtual pet game is becoming a big seller.





他の言語ではドイツ語とデンマーク語が全く同じ慣用句があります。
ドイツ語 vor die Hunde gehen
デンマーク語 gå i hundene


ところでゲルマン系の言語は「犬」を印欧祖語 *kwon- から生まれた ”hund系”の語を使っています。 (ドイツ語 Hund;  オランダ語 hond;  デンマーク語, スゥエーデン語, ノルウェー語 hund;  アイスランド語 hundur ) 英語は「猟犬」の hound でこれが見られますが「犬」そのものは語源不明の dog を使っています。 


一方英語の dog はフランス語ではブルドッグや大型の番犬を dogue , オランダ語ではマスチフ犬を dogge , イタリア語ではブルドッグをそのまま bulldog と言うように, 犬の種類を表すのに使われているようです。
ちなみにデンマーク語では dog はドイツ語の doch にあたる「しかし」や「本当に」などの意味の副詞になります。