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z154 (11月29日) 色を使う慣用句(7)


blue Monday  「憂鬱な月曜日」


直訳: 青い月曜日


赤は気持ちを奮い立たせ, 逆に青は落ちつかせる。 オレンジ色は食欲を増加させるが青は食欲を減退させる― というように色が人の心理や行動に影響を与えるのは全人類に共通です。 一方, 色が象徴するものは, 文化を越えて共通のものもあれば異なるものもあります。 多くの文化で紫が高貴で黒が不吉を連想させる色であるのに対し, 日本では太陽は赤くヨーロッパの文化圏では黄色である(イメージ検索1 イメージ検索2)ように。


「青」が「憂鬱」を意味するのは全人類共通ではありません。 その証拠にドイツ語デンマーク語, オランダ語の「青い月曜日」は全く別の意味になっているのです。 
ドイツ語  blauer Montag  「日曜日に仕事がある人が取る代休の月曜日」
デンマーク語  blå mandag (1) 「日曜日に仕事がある人が取る代休の月曜日」(holde blå mandag で「月曜日を休みにする」) (2) 「前日酒を飲みすぎて月曜日に二日酔いになること」
オランダ語 een blauwe maandag 「非常に短い時間」(een blauwe maandag werken で「非常に短い時間働く」)
(これらの起源は下に書いてあります)


英語の blue が low-spirited を意味するようになったのは1385年からだそうです。 (ついでながら音楽のブルース(blues)は1895年ごろからで, 言葉として公に記録されたのは 1912年の W.C. Handy' の Memphis Blues がリリースされたときということです。) 14世紀の終わりになって blue に「憂鬱な」という意味が加わったということは, もうすでにゲルマン語を話す民族がそれぞれの地でゲルマン諸語に分岐して発展したときなので, 「青」=「憂鬱」という概念は共有していなくても当然のことでしょう。 


さらに blue Monday という言葉に関しては手もとの英和辞典では「アメリカ口語」として「月曜日になると仕事や学校が始まるから」という注釈をつけています。 この起源以外に考えられないと思っていましたが Morris' Dictionary of Word and Phrase Origins によるとこれは帆船時代に遡り, 船乗りの慣習で月曜日は flogging (鞭打ち)の日なのだそうで, 用足しの水夫(たぶん仕事のヘマでもしたのでしょう)が体が black and blue (あざだらけ)になるまで鞭で打たれたからだとか。 これでは月曜日はブルー以外の何物でもありません。





さて上記のドイツ語(デンマーク語), オランダ語の「青い月曜日」の起源です。


ドイツ語の blauer Montag 「日曜日に仕事がある人が取る代休の月曜日」の起源についてはドイツ語版の Wikipedia に出ていました。 
それによると昔, 日曜日に藍染めをすると翌日にそれを乾かすために月曜日は「仕事半分」となったことに由来するようです。 つまりこの青は藍染めの青ということのようです。 (英語でも blue を動詞にすると「藍染めする」という意味になります。)


オランダ語の een blauwe maandag 「非常に短い時間(働く)」の起源はドイツ語とは違っています。 月曜日は職人の親方が職人と仕事の契約を結ぶ日で, この日は職人に小遣い銭を与えて自由にしてやったそうで Koppermaandag (銅銭の月曜日)と呼ばれていたそうです。 また中世以前には教会では断食が始まる印として月曜日になると肖像画や祭壇や洗礼盤などに青い布をかけたので blauwe maandag と呼ばれたとのこと。 青い布をかけるとミサができないから「仕事をしない」 blauwe maandag と Koppermaandag が結びついて een blauwe maandag が「非常に短い時間(働く)」となったようです。
参考サイト(共に記述はオランダ語): 
Nederlandsche spreekwoorden, spreekwijzen, uitdrukkingen en gezegden
Wat betekent `een blauwe maandag'?


なおオランダ語には een maandagsgevoel hebben というのは「月曜日の気持ちを持つ」で「憂鬱な気分だ」を意味し maandag houden  「月曜日を確保する」が「月曜日に休暇を取る」を意味するようです。