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z152 (11月25日) 色を使う慣用句(5)


out of the blue  「思いがけず, 突然に」


直訳: 青から外へ
例文: We were working to plan but one day out of the blue he said he would  quit.
私たちは計画通りことを進めていた。 しかしある日突然彼はやめると言った。





この blue は空のこと。 比較的有名な慣用句  a bolt from (out of) the blue 「青天の霹靂(へきれき)」 と同じです。 ただ out of the blue が副詞句であるのに対し, a bolt from the blue は名詞句です。


青天の霹靂陸游(りくゆう: 1125-1210)の詩『九月四日鶏未だに鳴かず起きて作る』から。
故事ことわざ慣用句辞典(三省堂)にある原文と現代訳を引用します。
(読み下し文) 「放翁病みて秋を過ごす。 忽ち起(た)ちて酔墨を作(な)す。 正に久蟄(きゅうちつ)の竜の如く,青天に霹靂を飛ばす。」
(現在訳) 「陸法翁(陸游の号)は病気になり秋が過ぎてしまった。 たちまち起き出して酔った勢いで筆を揮った。 それはちょうど,長い間地中に潜んでいた竜のように, 青空に雷鳴をとどろかせる勢いであった。」


英語の a bolt from the blue はイギリスの評論家・歴史家 トーマス・カーライル(Thomas Carlyle: 1795-1881)の フランス革命第3巻 (French Revolution vol. III 1837年 原文) から。
Royalism is extinct, 'sunk,' as they say, 'in the mud of the Loire;' Republicanism dominates without and within: what, therefore, on the 15th day of March, 1794, is this? Arrestment, sudden really as a bolt out of the Blue, has hit strange victims: . 
「王党派は消えた。 彼らの言葉を借りれば 『ロワール川の泥の中に沈んだ』のだ。 共和主義派が内外で占めるようになった。 その結果1794年3月15日に起きたのは何だったのだろうか。 突然空から稲妻に撃たれたように, 奇妙な犠牲者たちが次々と逮捕されたのである。」


霹靂は「雷鳴」 bolt は「稲妻」の違いはありますが, 青天の霹靂と a bolt from the blue は前者が「突然起きた事件」後者が「突然起きた不幸なできごと」という意味の違いはありますが,どちらも「突然」という意味では一致しています。 


しかしカーライルは陸游の詩を参考にしたのではなく, ローマ時代の詩人ウェルギリウス(Virgil 70-19B.C.) の Georgics I 英語の原文 にある Never till then so many thunderbolts from cloudless skies. (ラテン語: Non alias caelo ceciderunt plura sereno.) 「雲1つない空からこんなにたくさんの稲妻が走ったのはそのときが初めてだった」を素地にしたのかもしれません。