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z060 (07月24日) 「噂」に関する慣用句(2)


I heard it through the grapevine. 「口コミ/秘密情報網で噂を聞いた」


直訳: ブドウのつるを通してそれを聞いた。


grapevine を辞書で引くと定冠詞つきの the grapevine で「地下情報ルート, 口コミ, 口コミの(眉唾物の)噂」という意味があることがわかります。 なぜ「ブドウのつる」がこのような意味になるのでしょうか。


この慣用句はサムエル・モールス(1791-1872)による電信符号に関係があるようです。 トン・ツー・トンという具合に dot と dash の組み合わせで情報を伝えるモールス信号が初めて使われたのは1845年。  アメリカのワシントン市とバルチモア市の間で行われてからこの新しい情報伝達手段は急速に普及します。 そしてその電線が電柱にこびりついている様から grapevine telegraph 「ブドウのつる電信」とあだ名がつきました。 


ただこれだけでは grapevine が「うわさ」と結びつきません。 これが結びつくのは grapevine telegraph という語が生まれてから10年以上経った南北戦争(1861 -65)の時代です。 このころモールス信号はかなり普及し, 個人同士の情報交換の手段になっていました  戦況についてもいろいろな情報が交錯したわけですが, 中には怪しげなものも含まれていました。 ちょうどブドウのつるが tortuous (曲がりくねっている)ように情報も tortuous (人を騙すような)ものもあり信用できない― という意味も含め, grapevine に「口コミ, 秘密情報源のうわさ, 当てにならないうわさ」という意味が付加されるようになったのです。