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z052 (07月16日) take the bull by the horns 「恐れず困難に立ち向かう」


直訳: 雄牛の角を取る
例文: Sometimes it takes more courage not to take the bull by the horns.
   時には困難に立ち向かわない方が勇気がいることもある。

同じ表現はヨーロッパの諸言語に見られます。 どれもオランダ語が「雌牛」である以外は「雄牛の角を取る」という意味です。
フランス語 prendre le taureau par les cornes
イタリア語 prendere il toro per le corna
スペイン語 coger el toro por los cuernos
ポルトガル語 pegar o touro pelos chifres
ドイツ語 den Stier bei den Hornern fässen
オランダ語 de koe bij de horens grijpen(pakken)
デンマーク語 tage tyren ved hornene
スウェーデン語 ta tjuren vid hornen
ロシア語 взять быка за рога
ポーランド語 brac' byka za rogi
ハンガリー語 szarvánál fogja meg a bikát


どの言語がもとになってヨーロッパ中に広がったのでしょうか。 牛の角をつかむという行為は闘牛を思い出させますからスペイン語なのでしょうか。 
闘牛の歴史を書いたサイトによると, 中世のスペインの闘牛は貴族のスポーツで, 投槍を持ち乗馬した人間vs牛の形態をしていたそうです。 それが現在のように牛と面と向かって闘う形になったのは, 史上初のマタドールとされる, フランシスコ・ロメロ(Francisco Romero)が始めた1726年以降とされています。 
take the bull by the horn が初めて文献に現れたのは1711年と言われていますから, 闘牛とこの慣用句は直接関係ないと言って良いでしょう。 


しかし毎年7月7日から14日にパンプローナ(Pamplona イメージ検索)という町では牛が通りに放たれ, 人々が逃げたり追い駆けたりする祭り(Fiesta de San Fermin )が開かれますが, 中にはわざと牛に向かって行く者もいて, これなどは take the bull by the horn そのものの姿です。  牛が街中を走る行事は14世紀には始まっていたそうですから, この慣用句がここで生まれ, 長い時間をかけてヨーロッパ中に広がったとしてもおかしくありません。


ところで「牛の角を捕らえる」は別の諺でも使われています。
An ox is taken by the horns and a man by the tongue. 「牛は角により, 火とは舌により捕らえられる」で, こちらはフランス語 Le boeuf par la corne, et l'homme par la parole. の英語訳で, 言葉を慎まめという戒めで, こちらは17世紀の前期に文献初出のようです。