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z033 (06月27日) 「進退窮まる,絶体絶命」 between the devil and the deep blue sea 「進退窮まる,絶体絶命」 直訳: 「悪魔(下の説明参照のこと))と深い青い海の間に」 例文: The official was caught between the devil and the deep blue sea when his embezzlement of public money was uncovered. その役人は公金横領が発覚したとき進退窮まる状態になった。 ![]() devil は, ここでは古い船舶用語で竜骨翼板(garboard)のつなぎ目のこと。 竜骨翼板は竜骨(keel =船底にある船の背骨にあたるに部分)に隣接している船体の板で, 海面近くにあります。(上図黄色い部分付近) 竜骨翼板と竜骨のすきま(つまり devil )を海上でコーキング(caulking =隙間を補修すること)するときは甲板からロープで作業員をつるしておこなったため, 運悪く大波に襲われると作業員は海に落ちたり船体にたたきつけられたりし怪我を負ったり事故死しました。 この危険な作業のありさまから between the devil and the deep blue sea は「身動きの取れない難しい立場」を意味する慣用句になりました。 ![]() between Scylla and Charybdis 「進退窮まる; 絶体絶命; 前門の虎,後門の狼」 直訳: 「スキュラとカリブディスの間に」 例文: I drove a car up the narrow road in the mountain and ended up at a deadend. I was caught between Scylla and Charybdis. 私は山中の狭い路を車で登り, 着いたところが行き止まりだった。 前門の虎, 後門の狼といったところだった。 Scylla (英語読み シラ)はイタリア半島南部とシシリー島との間のメッシーナ海峡にある岩。 またはでその岩に住む6頭12足の女の怪物。 Charybdis (英語読み カリブデイス)はシシリー島側のペローロ岬沖にできる大渦のこと。 またはその怪物。 ![]() メッシーナ海峡 青い円が Scylla (イタリア語 Silla シッラ)の町 この海の難所のメッシーナ海峡は, 航行する際に2つの怪物の間を通って行かなくてはいけないことから, 進退窮まるという意味になりました。 ![]() ここで他のヨーロッパ諸語の「進退窮まる」を見てみましょう。 まずイタリア語。 上記の between Scylla and Charybdis はイタリア語読みになって fra Scilla e Cariddi (フラ・シッラ・エ・カリッディ)となります。 他に fra l'incudine e il martello 「金敷とハンマーの間に」 というのもあります。 この 「金敷とハンマーの間に」はポーランド語では miedzy mlotem a kowadlem (表記は正しくありません) 「ハンマーと金敷の間に」と逆になります。 ロシア語の меж двух огней と オランダ語の tussen twee vuren はともに 「2つの火の間に」という意味です。 ドイツ語は森の国の言葉らしく zwischen Baum und Borke 「木と樹皮の間に」 と言うようです。 スペイン語はドン・キホーテの中世騎士道の世界を思わせる entre la espada y la pared 「剣と壁の間に」 フランス語はウサギ料理でも作るのか貴族の遊びなのか aux abois 「猟犬に追い詰められた」。 デンマーク語は他の言語と違って慣用句にとぼけた味があることが多く, 今回も som en lus mellem to negle 「2つかみ(指でつかんだということ?)の間のシラミのように」 でそれを遺憾なく発揮しています。 |