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068 (般) carnation 「カーネーション」 前回は母の日の由来がテーマでした。 今回は母の日のシンポル, カーネーションを語源を探ります。 その語源には二つの説があります。 一つの説は花弁が冠に見えることから coronation 「戴冠式」の崩れた形というもの。 もう一つの説は人の肌の色に似ていることから古フランス語の「肌の色」を意味する carnation がついたというもの。 carn- の部分は carnival 「謝肉祭」にもある「肉」を意味します。 さてこの数行で今回の「語源探索」はおしまい―ということにはなりません。 カーネーションにはもっと複雑な裏話が隠されているのです。 それを紐解くために, カーネーションの古名 gillyflower と 別名 clove pink から話を始めましょう。 gillyflower は現在はストックやニオイアラセイトウなどの花を指しますが元はカーネーションのことでした。 この語源について「July-flower (7月の花)の崩れたもの」とする文献がありますが, これは間違っています。 正確な語源は古フランス語の girofle であり,「7月」とは無関係です。 そしてこの girofle の元をたどるとギリシャ語の karyofyllon に行きつきます。 これは「クルミのような固い殻の実」を意味する karyon と「葉」を意味する fyllon が組み合わさった語で香辛料の「クローブ, ちょうじ」(英語の clove)のことです。 これでカーネーションの別名 clove pink が結びつきます。 クローブはインドネシアのモラッカ諸島原産の熱帯性の常緑高木です。 一方, カーネーションは地中海原産のナデシコ科の多年草(または一年草)で, クローブとは全く別物です。 ところがカーネーションの香りとクローブの香りが似ていることから, ヨーロッパの諸言語でこの二つが混同する現象が起きてしまいました。 かつてカーネーションはワインの風味や香りづけに使われていて, 現在もサラダやピクルスさらにジャムにするレシピがあることから考えて, 鑑賞用以前にカーネーションは一種のハーブとして使われていたと思われます。 ペルシャやインドなどの東方との交易を通してしか手に入らない貴重で高価なクローブの代用品としてカーネーションは使われていました。 ギリシャ語の karyofyllon は本来クローブを意味していたのが, カーネーションも意味するようになったのはこんな経緯からでしょう。 ここでヨーロッパの諸言語でカーネーションをどう言うか分類すると以下のようになります。 *はフォントの関係で正しい表記ができないことを示します。
このうち, 2番目の「クギ, 鋲, リペット」とカーネーションがなぜ結びつくのか, その答えは次のページで。。 |
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