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062 (般) pouch 「小袋, 小物入れ:ポーチ」 前回の pooch の項で Merriam-Webster がその語源を「小袋, 小物入れ」の pouch にあるとしていると書きました。 今回はこの pouch を取り上げましょう。 まずはっきりさせておかないといけないことがあります。 この単語の発音が[パウチ]であり, [ポウチ]ではないということです。 日本語のカタカナ言葉の「小袋, 小物入れ」を意味する「ポーチ」はおそらくこの pouch から来たのだと思いますが, 誤った音で定着してしまったようです。 「ポーチ」という外来語は元来は英語の porch を借用した「玄関を屋根で覆ったところ」を意味していました。 恐らくこれと混同して pouch を「ポーチ」としてしまったと思われます。 外来語のおもしろいところは, 同一の語でも発音が複数あり, ときには発音を変えることで別の意味の語になってしまうことです。 例えば glove を「グローブ」と「グラブ」, iron を[アイロン」と「アイアン」, machine を「ミシン」と「マシーン」としているように。 pouch も同じです。 「ポーチ」に対して英語の発音に近い「パウチ」があり, こちらは「レトルト・パウチ」(retort pouch) でお馴染みです。 もう一つ外来語の興味深いことは, 同一のものに対して複数の表現があるです。 特にファッション用語は顕著で「チョッキ(>ポルトガル語 jaque)」と「ベスト(>英語 vest)」, 「ジーパン」と「ジーンズ」, 「ズボン」「スラックス」「パンツ」 などが挙げられます。 「ポーチ」も同様で, 類語にフランス語の pochette「小袋」 からの借用した「ポシェット」があります。 英語の pouch と フランス語の pochette の語源はゲルマン祖語の「膨れる」 *puk- で, 現代でもこの語源を匂わせる単語が存在するのは英語とフランス語だけです。 これは13世紀のイギリスの支配階級が使っていたフランス語(アングロ=ノルマン語)の影響でパリのフランス語と同じ語を共有した影響です。 下図を見てください。 これは12世紀のフランス語 (正確にはノルマン=フランス語) poqueから発達したフランス語と英語の「袋」「小袋」「ポケット」などを意味する語の関係をまとめたものです。 ばらばらに見える単語が2ヶ国語の中で繋がっていることがおわかりいただけるでしょう。 (注1)pocket と pochette は「小さい」を意味する接尾辞が付いてよく似た形をしていますが意味が違うことに注意してください。 (注2)「袋」の poke は現在は buy a pig in a poke 「物をろくに見ないで買う」という慣用句でしか使いません。 (注3)「ポーチする」 poach は「卵を酢の入ったお湯の中に割り入れて, 白身が黄身を包むようにゆでる」ことで, 白身がポケットのように黄身を包む様から「ポケット」を意味するフランス語から生まれた語です。 最後に英仏日の pouch, pochette, ポーチ, ポシェットをイメージ検索して比較することにします。 pouch (関係ない画像も含まれます。 注意。) pochette (こちらも関係ない画像が多いです。 これは pochette de disque CDのジャケット の意味でイメージ検索されてしまうからです。) ポーチ ポシェット pouch は「タバコや小銭を入れる皮製の小さな袋」。 pochette は「布か皮製の小さな袋, ポケット内の小さな袋; 特にイブニング・ドレスを着た女性が持つハンドバッグ」というのが英英辞典, 仏仏辞典に出ていた意味です。 一方, 日本語のポーチとポシェットの違いは, イメージ検索の印象では前者が手で持つもの, 後者が肩に掛けるものという違いがあるように思えます。 |
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