英文法の質問箱 |
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複雑な文の分析(1) |
質問: 英語の文法についてインターネットで調べているうちに、こちらのサイトを見つけました。 大学受験の勉強をしているのですが、よく理解できない文章があり、ぜひ教えていただきたくメールいたします。 Although white property owners exploited blacks by charging them an additional fee to live in the Harlem apartments, many blacks felt the fee was a small price to pay for a community they could call their own. この文章で、2行目の to live in the Harlem...の toは「〜に住むために」という意味の不定詞の副詞用法と考えてよいのでしょうか。 その場合、意味上の主語は誰になるのでしょうか。 訳には「白人の不動産所有者たちは、そのハーレムのアパートに住むのに追加料金を請求して黒人を食い物にしたけれども、その料金は自分たちのものだと呼べる社会に対して支払うべき小さな代償である、と思う黒人が多くいた」とあります。 お忙しいところ恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします |
質問者: ma□ 学年・年齢: 不明 性別: 女性 |
回答: もし The blacks had to pay additional fee to live in the Harlem apartments. なら「黒人たちはハーレムのアパートに住むために追加料金を払わなくてはいけなかった。」 なら to live も pay も主語が黒人なので, to live が pay に係って疑問を持たなかったと思います。 問題文の場合 ハーレムのアパートに住むのは黒人で,追加料金を請求するのは白人なので, お書きのような疑問が生じたのでしょう。 それは副詞的用法の場合, 動詞か形容詞または文全体を不定詞が修飾するので, to live in the Harlem apartment が charge に係り, charge の主語が白人のため, ハーレムのアパートの主語が白人になってしまうのではないか, という疑問でしょう。 目的を表す副詞的用法の不定詞の主語と文の主語は一致しているのが普通です。 そのため, この文の不定詞も副詞的用法というより形容詞的用法と見た方が自然です。 つまり「そのハーレムのアパートに住むための追加料金」と訳すことができます。 fee に形容詞的用法の不定詞が付いている例:What is the fee to use College Connection Search Service? しかし charge の用法に charge 金 to不定詞 「〜するのに金を要求する」 というのがあります。 例:They charged 40,000 yen to rent me a room. さらに辞書には掲載されていなくてもこれの類型から生まれた charge 人 金 to不定詞 「〜するのに人に金を要求する」というのも検索すると見つかります。 http://www.google.co.jp/search?sourceid=n avclient&hl=ja&ie=UTF-8&rls=GGLC,GGLC:1970-01,GGL C:ja&q=%22charged+me+%2A+dollars+to これから考えるとこの不定詞を副詞的用法と見ることも可能です。 結論を言うと, 形容詞的用法とも副詞的用法とも取れる微妙な不定詞です。 そしてこのようなことはまれではありません。 入試の場合はあまりにも識別が難しいものは出題されないので心配はいらないでしょう。 |
上の回答に対する質問者からのレスポンス: 早速のご解答、どうもありがとうございました。 大変丁寧かつわかりやすい解説で、よく理解できました。 目の前の霧がさーっと晴れたような思いです。 お忙しい中、貴重な時間を割いていただき感謝しております。 思い切ってお伺いして本当によかったです。文法はずいぶん勉強してきたつもりでしたが、まだまだ足りないようで、もっと頑張らなければ、とやる気になりました。ありがとうございます。 HP拝見しました。楽しみながら学べそうなコーナーが満載で、早速お気に入りに登録させていただきました。まさにテーマパークのようです。先ほどいくつか回らせていただきましたが、とても楽しかったです。 ところで、もうひとつ教えていただきたい問題があるのです。 連日で大変恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。 (つづき) Women expect men to be good and reliable breadwinners, which assures the economic freedom it becomes their privilege to enjoy. 上の英文で、which 以下の構文(特にit以下)がうまく理解できず、苦慮しております。 whichは関係代名詞で、前の主節全体の内容を受け、assuresが動詞、the economic freedomが目的語だと思うのですが、それでは次のitは何を指すのでしょうか。 itが前のeconomic freedomを指していて、最後の不定詞to enjoyの目的語はそのeconomic freedomになるのでしょうか。 辞書や参考書など自分で調べられるものはすべて当たってみたのですが、わかりませんでした。 お忙しいところ申し訳ありませんが、先生のお知恵をお借りできれば幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。 |
回答: freedom と it の間に目的格の関係代名詞が省略されています。 関係代名詞を使う文は2つの節が一つにまとまっていると考えられますから, 逆に, この部分を2つの節に分解するとわかりやすいと思います。 この際 assures の主語は前文ということで便宜上ここを動名詞にして以下のように示してみました。 (1) Men's being good and reliable breadwinners assures economic freedom. 男性が良き頼れる大黒柱になることで経済的自由が保証される。 (2) It becomes their (=women's) privilege to enjoy the economic freedom. その経済的自由を享受するのが女性の特権になる。 これでわかるように it は仮主語で, これが指すのは to enjoy the economic freedom です。 economic freedom が2つの節の共通部分, つまり it becomes their privilege to enjoy の先行詞にあたりますから, これが the economic freedom に係るように訳せばよいことになります。 したがって全体の訳は以下のようになるでしょう。 「女性は男性が良き大黒柱,頼れる大黒柱になることを期待している。 というのは男性が大黒柱になれば,享受するのが女性の特権となる経済的自由が保証されるからだ。」 |
上の回答に対する質問者からのレスポンス: お忙しい中、早速のご丁寧な解答、ありがとうございます。 このitは仮主語だったんですね。全く気が付きませんでした。 何日もずっと悩んでいたので、疑問が解決して、すっきりしました。 今回も大変分かりやすいご説明で感動しております。 このサイトに出会えて、とてもラッキーでした。 毎日少しずつ、いろいろなコーナーをのぞいてみようと思っています。 生徒さんだけでなくきっととても大勢の方が先生を頼りにしている事と思います。 今後もどうぞお体に気をつけて、ご活躍ください。 どうしても自分で解決できない問題に当たった時は、どうかまた先生に質問させてください。 本当にありがとうございました。 |