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080 (中) pencil 「鉛筆」 エンピツは漢字で書けば 「鉛」の「筆」, 英語なら lead pencil 。 だからあの黒い芯は鉛でできているのかと思ってしまいますが, 正確には「鉛」ではなく「黒鉛(こくえん)」の筆で英語で表せば graphite pencil とでもなるところです。 さて鉛筆が登場する前はどういう筆記用具を使っていたのでしょうか。 日本人なら「墨と筆」とピンと閃きます。 古代エジプトやローマでも松ヤニとイカスミに水を混ぜた墨に細い葦や鳥の羽の先をななめに切ったペンを浸して文字を書いていました。 紙は有名なパピルス, それに羊皮紙です。 ローマ時代の学校の読み書きにはパピルスや羊皮紙以外にロウ板(wax tablet)も使われていました。 この場合, 尖筆(せんぴつ stylus)という鉄や木や象牙や青銅でできたペンでロウ板を引っ掻き, その滑らかな面を消しゴム代わりにしていたようです。 イメージ検索 鉛筆の誕生は, イングランド北部, スコットランド国境のカンバーランド州ボローデルの Seathwaite Valley (イメージ検索)で黒鉛が発見された1564年のことです。 Derwent Cumberland Pencil Company という地元の鉛筆メーカーのホームページによると,ある激しい嵐の日に羊を見に行った羊飼いが, 倒れている木の根元にあった黒い塊を発見しこれを羊の印付けに使用したのが黒鉛の誕生秘話とのことです。 発見された黒鉛は国によって管理され, 筆記用具というより大砲の鋳型として使われたそうです。 現在も黒鉛は潤滑剤, ペンキ, 電極からカーボンファイバーのスポーツ用品, さらに原子炉の中性子減速体というものにも使われている多種多様な用途のある資源です。 黒鉛を筆記用具として使い現在の鉛筆の形を作ったのは1790年代になってからでフランスのニコラ・ジャック・コンテとオーストリアのジョセフ・ハルトムトが別々に考案しました。 特に後者は原料と労働力の確保が有利なチェコに工場を作り幾代かにわたって業績を伸ばし, 第一次世界大戦前は世界のトップクラスの鉛筆製造メーカとなりました。 日本へはオランダが徳川家康に献上したのがはじまりで, 一般に普及したのは明治時代になってからです。 さて pencil の語源です。 pencil という単語自体は黒鉛の発見以前から存在しました。 ただし画家が使っていたラクダの毛でできた上質の筆を指し, ラテン語の「ブラシ」を意味する peniculus に縮小の接尾辞がついた penicillus 「絵筆」がその起源で, 古フランス語の pincel が英語になったものです。 peniculus も「尾」を意味する penis に縮小の接尾辞が付いたもの。 なお penis の語源はこの「尾」を表すラテン語であるという説があります。 鉛筆は言語によってバラバラです。 pencil をそのまま借用している言語は主要語の中にはありません。 英語を借用しがちな日本語でさえ独自の言葉を使っています。 ここでいくつかヨーロッパの諸言語の鉛筆を並べてみましょう。 ドイツ語 Bleistift < Blei 鉛 + Stift 筆 オランダ語 potlood < 黒鉛 デンマーク語 blyant < bly 鉛 フランス語 crayon < ラテン語 creta チョーク イタリア語 matita < ラテン語 haematites 血で染まった石;赤色の絵の具を作るための石 スペイン語 lápiz < ラテン語 lapis 赤色をの絵の具を作るための石 ロシア語 karandash < モンゴル語 xarandaa ?<アラビア語 qalam 鉛筆,ペン;葦で作った筆 チェコ語 tuzka (フォントがないため正しい表記ではありません) 鉛 ポーランド語 olowek (フォントがないため正しい表記ではありません) 鉛 |
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