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060 (中) flour 「小麦粉」 flour は flower と同じ発音です。 では,この2つの語には何か関係があるのでしょうか。 今回はこれについて探ってみましょう。 まず小麦粉を主要なヨーロッパ諸語で何と言うか調べみました。 すると次のように大きく4つのグループに分かれました。 * は活字がないため正書法でないことを表す。
1のグループはロマンス諸語でラテン語の「穀物」 far が語源。 英語でも「プディングやシリアル用の穀粉」という意味で farina が借用されています。 2のグループはゲルマン諸語で, 「挽く」の印欧祖語 *mel-/*mol-/*ml- から生まれた語群です。 英語では「ひきわり粉, あらびき粉」という意味の meal に現れています。 この meal は「食事」の meal とは語源は無関係です。 後者は 「食べる時間」という意味のゲルマン祖語 *mal から生まれています。 「ひきわり粉, あらびき粉」の meal は「オートミール」 oatmeal でおなじみです。 つまりオートミールは「オーツ麦の食事」ではなく「オーツ麦のひきわり粉」という意味になる訳です。 なお「ひきわり粉, あらびき粉」の meal と同じ語源の単語には windmill 「風車」や watermill 「水車」にある mill 「製粉所」があります。 3 のグループはスラブ諸語で, これも語源は 2 と同じ 「挽く」の印欧祖語 *mel-/*mol-/*ml- で古ギリシャ語の「柔らかい」を意味する malakos から派生したと思われます。 さて, 問題の英語の flour は上記の主要なヨーロッパ諸語の「小麦粉」とは別の形をしています。 これはどこから来たのか。 その答えはラテン語の「特上の小麦粉」を意味する flos farinae にあります。 flos はラテン語で「花」。 しかしここでは「際立って優れたもの」で漢語の「精華」にあたります。 farinae は「小麦粉」の farina の各変化したもので, 上記のロマンス諸語に受け継がれているのは上記の通りです。 この flos farinae「特上の小麦粉」 はそのまま直訳した形で諸言語に伝わり一部は現在も残っています。 例: fior di farina (イタリア語) fleur de farine (フランス語) bloem van meel (オランダ語) 英語も flower of farina と直訳して借用しましたが, このうちの farina の方ではなく flower の方だけで「特上の小麦粉」とし, やがてどのような種類の小麦も flower と呼ぶようになったのです。 そして「花」の flower と「小麦粉」の flower とわけるために, 後者は flur と綴られるようになり1830年ころには完全にこの2つは発音は同じで綴りの違う別個の語に分離しました。 オランダ語も英語と同じく bloem 「花」に「小麦粉」の意味も持たせました。 しかし英語と異なりこの2つを分けるために別綴りの語は作らず現在も bloem は「花」と「小麦粉」の両方の意味があります。 ただ「小麦粉」は多くの場合ゲルマン語源の meel を使っているようです。 |
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