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ぶらりボキャブラ散歩 気まぐれ英単語 アーカイブス(全ファイル一覧)
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020 (般) dandelion 「タンポポ」 世界中で自生している最も親しまれている花のうちの一つ。 世界の諸言語のその名前の由来を調べてみると面白い発見があります。 まず日本語のタンポポ。 古名は「つづみ草」。 茎を切って両端に細かい切れ目を入れて水に浮かべると, その端がそってつづみの形になり, こうしてつくったタンポポのつづみを子供たちが「タン, ポン, ポン」と言って遊んだことがその由来だ, というのが民俗学者の柳田国男説です。 そう言えばはるか昔, 私もタンポポの茎を切って水に浮かべた記憶があります。 ただタンポポのつづみを作る遊びのためだったかは定かではありません。 ついでヨーロッパ諸語に多い「ライオンの歯」。 中世ラテン語の dens leonis が元で, 英語の dandelion フランス語の dent-de-lion, イタリア語 dente di leone, スペイン語の diente de león , ポルトガル語の dente de leão, ドイツ語 Lowenzahn, オランダ語の leeuwetand, デンマーク語の løventand , ノルウエイ語の løventann などに継承されています。 これはギザギザした葉の形がライオンの歯を連想されるからだそうです。 ライオンでなくても犬の歯でもネコの歯でもよかったのではないかと私は思うのですが, 何かライオンでなくてはいけない必然性があるのかもしれません。 ロマンス語でもルーマニア語は papadie (正書法では a の上にカギがあります。)といい, ゲルマン語でもスゥエーデン語では maskros と言うのがおもしろいところ。 このうち maskros は辞書を使って字面通り訳すと「ミミズの薔薇」となりますが, そういう意味なのかは確信が持てません。 タンポポのような大衆的な花は各国語で複数の名称があることが多いようです。 そしてそこには庶民の暮らしが垣間見えることがあり興味深いです。 オランダ語では paardebloem とも言いこちらは「馬の花」。 これは馬が食べることから命名されたのかもしれません。 またフランス語の pissenlit とイタリア語の piscialletto 。 ともに英語にすれば piss-in-the-bed で直訳は「ベッドの小便」。 これはタンポポを煎じて飲むとおねしょをしなくなるという民間療法から来ているのではないかと思います。 イタリア語には他にふいごを意味する soffione がありますがこれは綿毛を拭いて飛ばす様が連想されます。 また insalata matta 「気の狂ったサラダ」という名称もあるようでこちらは食べると苦いからではないかと思います。 またイタリア語には tarassaco という名称もあり, こちらはタンポポの学名 Taraxacum officinale に見えるラテン語 taraxacum からの変形です。 ラテン語の taraxacum の語源はギリシア語の tarasso の連想からみて「治療する」ということでタンポポの薬草で使われる局面を表しているようです。 そう言えばタンポポ・コーヒーとかいうのも健康食品ブームの昨今ときどき聞くことがありますね。 もっともラテン語の taraxacum はアラビア語の「チコリ(アンディーブ)=ハーブの一種)」を意味する tarah sagun やペルシャ語の苦い草を意味する tharachakon と関係しているとも言われているようです。 またフィンランド語では voikukka と言い, こちらは「バターの花」。 明かにタンポポの黄色い色からの連想です。 またデンマーク語は上記の「ライオンの歯」以外に, fanderns mælkebøtte 「悪魔のミルク瓶」というのもあります。 これはタンポポの白い汁が苦いことからの連想ではないかと思います。 トルコ語では kara hindiba というようですが, hindiba は上記のチコリであるからいいとして kara は「黒い」という意味しか手もとのトルコ語語彙集にないので正確な意味は不明です。 その他の言語でタンポポをどういうか, などを含めタンポポのいろいろは Webster's Online Dictionary をご覧ください。 |
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