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ウェールズ語の一般向け語学書の比較

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このページには私が持っている次のウェールズ語の語学書についてのレビューが書かれています。


1から5までが品詞に関係なく対話文や文章を添えて文法知識を重ねて進む「コース」型で, 6から7が品詞別に文法説明をする「文典」型です。  独学で外国語を学習する場合, 「コース」型のテキストで勉強を始め, 一通りその言語の展望ができたら「文典」型のテキストで補足・確認するのが一般的な教材の選択だと思います。

  1. 毎日ウェールズ語を話そう
  2. Teach Yourself Welsh (Julie Brake/Christine Jones)
  3. Teach Yourself Welsh (T.J.Rhys Jones) 絶版
  4. Teach Yourself Living Welsh (T.J.Rhys Jones) 絶版
  5. Colloquial Welsh (Gareth King)
  6. Basic Welsh (Gareth King)
  7. Intermediate Welsh (Gareth King)
  8. Modern Welsh - A Comprehensive Grammar (Gareth King)
  9. Teach Yourself Welsh Grammar (Julie Brake/Christine Jones)
  10. Teach Yourself Welsh (John T Bowen / T.J. Rhys Jones) 絶版
  11. Teach Yourself World Cultures : Wales (Julie Brake / Chrstine Jones)


【入門書を選ぶ前に】
ウェールズ語の勉強で戸惑うのは, いろいろな種類のウェールズ語があることです。  たとえば英語の I am に当たるウェールズ語も


(1) Yr ydwyf ..
(2) Yr wyf i ..
(3) Rydy i ..
(4) Dw i ..
(5) Ry i ..
(6) W i ..


といくつかの形があるようです。 (1)は聖書のようなフォーマルで古風な書き言葉。 (2)は標準的な書き言葉。  (3) はCymraeg Byw (Living Wales)という1960年代70年代のウェールズ語の普及運動で生まれた「人工的な外国人向けの学習用」ウェールズ語。 (4) は話し言葉のウェールズ語で現在のウェールズ語学習で主流の形。 そして Gareth King の Comprehensive Grammar によると(4)は北部方言であり, (5)(6)が南部方言であるそうです。


このように一言ウェールズ語と言っても微妙な違いがあるので教材によってどのウェールズ語であるか確かめる必要があります。 一般に手に入る語学書の場合, (2)一般的な書き言葉, (3)「人工的」話し言葉, (4)「現実的」話し言葉の3つのウェールズ語のどれかであることがほとんどです。 このページで扱う語学書をこれに基づいて分類すると以下のようになります。
(注) この「一般的な書き言葉」「『人工的』話し言葉」「『現実的』話し言葉」という言葉は私が個人的に使っている言葉です。


(2) 一般的な書き言葉
  • 毎日ウェールズ語を話そう 偶数課
  •  Teach Yourself Welsh (John T Bowen, TJ Rhys Jones) 1960年初版 絶版
  • (注) Intermediate Welsh (Gareth King) や   Teach Yourself Welsh Grammar (John T Bowen / T.J. Rhys Jones)の一部にも書き言葉について記述があります。
(3) 「人工的」話し言葉
  • 毎日ウェールズ語を話そう 奇数課
  • Teach Yourself Living Welsh (TJ Rhys Jones) 1977年初版 絶版
  • Teach Yourself Welsh (TJ Rhys Jones) 1992年初版 絶版
(4) 「現実的」話し言葉
  • Teach Yourself Welsh (Julie Brake, Christine Jones) 2000年初版
  • Colloquial Welsh (Gareth King)
  •  Basic Welsh (Gareth King)
  • Intermediate Welsh (Gareth King)
  • Modern Welsh - A Comprehensive Grammar (Gareth King)
  • Teach Yourself Welsh Grammar (Christine Jones)
※ 参考までに別ページで扱ったBBC放送のウェールズ語入門講座 Catchphrase の場合も, Original Catchphrase は(3)の「人工的」話し言葉, The Lloyds は(4) の「現実的」話し言葉に基づいて作られています。


ご覧のように同じ Teach Yourself シリーズでも年代によって異なるウェールズ語を扱っています。 ですから古本で手に入れるときは注意する必要があります。  私の場合は1970年代初めて買ったウェールズ語のテキストが一般的な書き言葉の John T Bowen の Teach Yourself Wales でした。次に1970年代半ばに買ったウェールズ語のテキストは「人工的」話し言葉の Teach Yourself Living Welsh で2000年代に買ったのが「現実的」話し言葉でした。 『毎日ウェールズ語を話そう』は一般的な書き言葉「人工的」話し言葉を分けているので1冊で二つ学べてよいのですが, 現在の主流の「現実的」話し言葉は触れていません。 
  

                                  


毎日ウェールズ語を話そう(水谷宏)】 (大学書林 251ページ 5,775円・別売りテープあり)

上の検索窓に以下のISBNコードをコピー&ペーストすると Amazon.co.jp で購入できます。
ISBN-10: 4475018218


日本語による唯一のウェールズ語の入門書。  奇数課で人工的なウェールズ語である cymraeg Byw (Living Welsh)を, 偶数課で書き言葉のウェールズ語を扱っています。 文法の説明はウェールズ語による文法用語を添えてあるように専門の語学生も配慮しています。 ただし副題に「入門編」とあるようにすべてのウェールズ語の文法事項を扱っているわけではありません。 


この本はまったくの初心者には取っ付きにくいと言えます。 しかし, 例文・会話と文法説明のページの後, パターン練習のドリルが入っていたり, 会話文を使って「一人二役」練習をしなさいと言った指示があったりするころからも, ただ文法説明をするだけの語学書ではなく, 言語を身につける実用書という位置づけがされているようです。


理路整然としたページの割り振り, パターン練習や独学者向けに勉強のしかたの指示など, 大学書林らしくない組み立てをしてます。  しかし綿密だがわかりづらく専門臭が漂う文法説明はやはり「大学書林」的。 これが苦手な人は練習問題の例文を声を出して読んだり暗記したりすることに精を出しましょう。 


この本の大きな欠陥は索引がないこと。 目次が索引代わりということでしょうが,  この本は文法別に構成されているのではなくコース型の語学書なので目次では索引にはなりません。  しかもその目次が狭い行間にぎっしり文字が書き込まれて見づらくてイライラします。  このあたりのセンスのなさも如何にも大学書林的。  もしこの本が白水社が出していたら, もっとよいものになっていたでしょう。 せっかくの日本唯一のウェールズ語の学習書だけに残念です。


私は英語で書かれた語学書からウェールズ語を独学し始め, 後にこの本と出会ったのですが, 日本語の説明を読むと頭がボーっとしてしまい, 結局英語の本に戻りました。 もしある程度英語がわかるなら(高校英語で十分), 無理して日本語を介して理解するよりも英語を介した方がウェールズ語はわかりやすいかと思いますし, 英語で書かれている物の方が読みやすく楽しくなによりもコストパフォーマンスもよいので, そちらをお勧めします。 この本は一世代前の cymraeg Byw (Living Welsh) のウェールズ語ですし。


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Teach Yourself Welsh (Julie Brake/Christine Jones)】(314ページ /別売りCDあり)

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テキスト+CDの場合は ISBN-10: 0340860499 
テキスト版のみの場合は ISBN-10: 0658011669 または ISBN-10: 0071420312
表紙や値段が違いますがアメリカ版とイギリス版の違いで同一もののです。



英語で書かれた語学入門書でもっともポピュラーな Teach Yourself シリーズの1冊。 Teach Yourself シリーズを買うときはCD付, CDなし, アメリカ版, イギリス版, さらに以下にあるように古いバージョンのものなどが入り乱れ, 非常にラインアップが複雑なので購入の際には気をつけてください。  できればCD付のものがよいでしょう。


各課は3つほどの対話, 6つほどの練習問題, あるシチュエーション(たとえば病気)での表現, そして文法の説明から成り立っています。  Teach Yourself シリーズの欠点でページの割り振りがはっきりしないため, それだけで頭の中がごちゃごちゃになってしまうことです。 その意味で各課の始めに何について勉強するかを記し, 各課の終わり簡単なチェックテストがあるのは親切です。


一世代前の Teach Yourself シリーズと違い, 今のこのシリーズは極力文法説明を避けるようにしているようです。  この Teach Yourself Welsh も文法よりも, 電話番号の言い方, 好きなもの嫌いなものの言い方, 道順の尋ね方, 病気についての表現の仕方など実用性を重視しています。 したがってウェールズ語がどのような言語なのか文法的に鳥瞰したい方には不向きなテキストです。 なお文法は条件法, 英語の接続詞 that, before, after などに導かれる節の表し方, 強調の仕方までで関係詞は触れていません。


さてストーリ性をもたせてコースを構築している語学書やラジオなどの語学講座の場合, そのストーリやキャラクタのおもしろさ, また音声教材がある場合はその声のパフォーマンスや俳優の魅力が, かなり重要です。 「語学入門書マニア」の私は語学入門書のストーリを読むのがすきなのですが, このテキストの場合はイマイチの出来です。 


ストーリは夏のウェールズ語講座に参加した Mathew, Tom, Jayne それと先生の Elen の会話で進みますが, ある課で Mathew は子供が歌う Eisteddfod (民族芸術祭)を見に行かないかという仲間からの誘いを受けて, 「子供の歌を聞くなんてオエッ。 俺はチケットなんかいらない」などと言います。 この部分は全体の平板な声優たちの声の調子とあわせ,  浮いていて奇異な感じを受けました。


また設定では Mathew は28歳ということですが, CDを通して聞く Mathew の声はどう聞いても60代70代で, 高齢者に多い舌が回らない感じのダミ声が耳障りで, この教材を積極的に聞く気がしないもう一つの理由です。


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Teach Yourself Welsh (T.J.Rhys Jones) 絶版】(334ページ /別売りテープあり)

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ISBN-10: 0844238414 (本のみ。 中古しか手に入りません)


上記の Julie Brake/Christine Jones版の前の世代の Teach Yourself Welsh で cymraeg Byw に基づいて書かれています。 同じ筆者による後述の Teach Yourself Living Welsh とはまったく別の内容ですが, 構成は同じです。 Living Welsh が音声教材がないのに対し, こちらはあるのが大きな違いです。 


19課から成り, 各課は Dialogue,  Useful Words and Phrases,  How Welsh Works(文法説明),  Darllen a Deall(「読解と理解」ですがほとんどの課は対話文になっています)で構成されています。 How Welsh Works には説明ごとに問題があります。 Dialogue は Julie Brake/Christien Jones 版と比べ圧倒的に長いのが特徴です。 また Julie Brake/Christine Jones版よりも文法説明は詳しいと言えます。 Julie Brake/Christien Jones 版と違い関係代名詞も扱っています。 また過去形が12課になってやっと登場するのが特徴です。 


個人的には Julie Brake/Christien Jones 版よりもすっきりした編集であることと, 音声教材が聞きやすいことからこちらの方が好みです。 


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Teach Yourself Living Welsh (T.J. Rhys Jones) 絶版】(445ページ)

上の検索窓に以下のISBNコードをコピー&ペーストすると Amazon.co.jp で購入できます。 
ISBN-10: 0340218460 (中古しか手に入りません)


1970年代のウェールズ語学習書です。 上記の Teach Yourself Welsh と同一の筆者のものでタイトル通り Living Welsh (cymraeg Byw)に基づいて書かれています。  全部で21課。  文法の説明, パターン練習, 作文, そして対話から成り立っています。 


上記の Teach Yourself Welsh と全体の感じが似ています。 対話文も上記のものと同じく長めで生き生きしています。 そして他のテキストにないこのテキストだけの特徴として, 対話文に訳がついているのが独学者には助かります。 願わくば音声教材があれば良かったのですが。


上記の Teach Yourself Welsh と同様, すっきりした編集なので学習しやすい感じがします。 ただ各課が何を扱っているのか明記していないのが残念。


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Colloquial Welsh (Gareth King)】(287ページ / 別売りCD,テープあり)

上の検索窓に以下のISBNコードをコピー&ペーストすると Amazon.co.jp で購入できます。
ISBN-10: 0415461278  本+CD
ISBN-10: 0415107830 本のみ
ISBN-10: 0415434459 ルースリーフ版
ISBN-10: 0415286883 CDのみ


 Teach Yourself シリーズのライバルなのがこの Colloquial シリーズ。 筆者のガレス・キングは他にも多くのウェールズ語の参考書や辞書を執筆してます。 キングは人工的な Living Welsh (cymraeg Byw) を否定し実際に話されているウェールズ語を奨め北部方言と南部方言の両方を等しく扱っています。 そのため複数の表現が現れこれが煩雑に思える学習者もいるかもしれません。


Teach Yourself Welsh と大きく違って発音と綴りに多くを割いています。 随所に北部方言と南部方言の発音の違いをネイティブの発音によって示してあります。 15ページ前後からなる課は全部で16課あり,それぞれ3,4の対話と文法説明,練習問題などで構成されています。  Teach Yourself Welsh よりも文法を重視しています。 また内容も豊富です。 しかし関係代名詞は主格のみであることからわかるとおり, すべての文法事項を網羅しているわけではありません。 


第1課は挨拶を扱っています。 しかし対話には関係代名詞が出てくるようにいきなり中身は難しいのです。 (といううよりまとまりに欠けている感があります) また人を紹介する文を作るため「私の友人, 夫, 妻 etc」という単語を並べていますが, 初めてウェールズ語を勉強する学習者には, 帯気音化の説明もなく, ある単語は fy が付きある単語は付かないのは何故かなど???だらけになると思います。 単語も nghymydog 「私の隣人」とか myfyrwraig 「女学生」 cyfieithydd 「翻訳家」など初心者が練習するには抵抗感のあるような単語が並んでいます。  第1課から挫折してしまいそうなテキストですので, ちょっと前もって知識を持ってから使ったほうがよいと思います。 


またTeach Yourself Welshと同様, ページの割り振りがばらばらで各課の構成が不均等なメリハリのない編集となっています。 これは空白を作らずに情報を押し込んでいるためなのですが, 何もないところに美を見出す日本人なら違う編集をしたでしょう。 こういうところにも文化の違いが現れるものなのでしょうか。


対話にストーリ性はありません。 音声ファイルは Teach Yourself Welsh よりも速度が速く生き生きしています。 前述のように, 北部方言, 南部方言の話し手が録音に参加しているようです。 


さて Teach Yourself Welsh と Colloquial Welsh とどちらかを選択するとすれば私なら―
まずBBC放送のウェールズ語ラジオ講座の The Lloydsをオススメします。 これを聞いてウェールズ語の基本的な構造がわかり, さらに興味を持ったなら, そしてお金の余裕があるなら Colloquial Welsh を推薦します。 こちらの方が Teach Yourself よりも詳しくまた音声教材の質が上だからです。 しかし「お金が。。」という場合は, Teach Yourself Welsh でもよいでしょう。 


どちらもできれば音声教材もいっしょに購入したほうがよいです。 (Teach Yourself Welsh の場合は音声教材はあまり薦められませんが) Colloquial Welsh の場合, 音声教材も購入すると結構な値段になりますが。


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Basic Welsh - A Grammar And A Workbook (Gareth King)】(146ページ)

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ISBN-10: 0415120969


品詞別に構成されている文法書で後述の Intermediate Welsh の姉妹版です。  40課からなり, 各課は文法説明と1つの練習問題1つの作文で構成され, きれいに3ページで終わるようになっています。 つまり上記の Teach Yourself Welsh や Colloquial Welsh と違い, ページの割り振りがすっきりしていて学習しやすいのが長所です。 ただ実用的ウェールズ語を身につけることを前提としていないので, この本で勉強しても挨拶や自己紹介すらできないでしょう。 


文法を一通り勉強しようと言う目的なら, これと下記の Intermediate Welsh - A Grammar And A Workbook を買い揃えればよいと思います。 どちらも練習問題がありますし, 記述からも学習書として使うべきものと思います。


Modern Welsh - A Comprehensive Grammar (Gareth King)やIntermediate Welsh - A Grammar And A Workbook (Gareth King)のレビューも参考にしてください。


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Intermediate Welsh- A Grammar And A Workbook (Gareth King)】(155ページ)

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ISBN-10: 0415120977


上記の Basic Welsh の姉妹版です。  中級としていますが Basic Welsh を難しくしたわけでなく, Basic Welsh の続きとして比較や接続詞, 従属節, 仮定法などの文法事項を扱っているにすぎません。 つまり1冊の文法書を2冊に分冊したと見るべきです。 構成も Basic Welsh と同じです。 なお最後の4章は書き言葉のウェールズ語に充てられています。


Modern Welsh - A Comprehensive Grammar (Gareth King)やBasic Welsh - A Grammar And A Workbook (Gareth King)のレビューも参考にしてください。


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Modern Welsh - A Comprehensive Grammar (Gareth King)】(402ページ)

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ISBN-10: 0415282705


英語で書かれた各国語の文典として定評のある Routledge の Comprehensive Grammar シリーズの一つ。 執筆者は上記の Basic Welsh と Intermediate Welsh と同じくガレス・キング。 ではどう違うのでしょうか。


Basic Welsh/Intermediate Welsh は練習問題をつけた学習者向け参考書という位置づけです。 1冊を2冊に分冊したようなものでそれぞれがさほど薄くなく, 中も空白が多いことからも文法書にある圧迫感がありません。 学習書という位置づけなので「気楽に」手が届きページを捲れます。 しかし Teach Yourself  Welsh や Colloquial Welsh のようなコース型のテキストの場合音声教材を添えたり学習者を飽きさせないように進め方を工夫したり実用性を持たせることなど学習者へのサービスを考慮していますが, Basic Welsh/Intermediate Welsh はそれがまったくありません。  よく言えば簡潔, 悪く言えば手抜きの記述内容です。


一方, Modern Welsh - A Comprehensive Grammar は文典です。   記述も一般学習者にわかる英語ではありますが, Basic Welsh/Intermediate Welsh とは語り口が異なります。 もちろんこれを学習書として使うことも可能ですが, どちらかと言えば不明なところが出たときに引く文法書として使うことになるでしょう。  頼りになる反面, 本棚の飾りと化する可能性が大きいです。 本格的に勉強しようと言う方には必携書ですが, とりあえずウェールズ語― という方には絶対必要ではないかもしれません。


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Teach Yourself Welsh Grammar (Christine Jones)】(226ページ)

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ISBN-10: 0340887869 または ISBN-10: 0071490949
この二つはアメリカ版とイギリス版の違いで同一です。


一世代前の Teach Yourself シリーズは文法を中心に各課に少し練習問題や作文が付いている編集をしていました。 この Teach Yourself Welsh Grammar はその一世代前の Teach Yourself シリーズを髣髴させる編集です。 下記の最初の Teach Yourself Welsh は書き言葉のウェールズ語でしたが, これは話し言葉のウェールズ語を扱っています。 (随所に書き言葉の動詞の活用も載っています)。


一世代前の Teach Yourself シリーズに似ていると言っても, あくまでも文法書のため, これをコース系の語学書代わりに使うのはお勧めできません。 最初のページから順を追って読んで行くと必ず挫折するでしょう。 というのは名詞, 形容詞, 代名詞と来て次に名詞節と接続詞になり, 動詞はさらに6章分後にならないと出てこないからです。 動詞がわからないで名詞節や接続詞がわかるはずがありません。 そもそもなぜ動詞の前に名詞節や接続詞を持ってきたのか作者の意図が読めません。


上記の Modern Welsh - A Comprehensive Grammar と比べ, ページ数は少なく本もふた周りほど小さいですから, 中身は少なくなるのはしかたありません。 しかし簡潔な記述なので読み通すことが出来るため一通りウェールズ語を知ろうという目的なら, こちらの方が安上がりで良いでしょう。 また Modern Welsh - A Comprehensive Grammar には足りない部分も見られるので補完さえすることができます。 たとえば男性名詞の語尾を Modern Welsh は 16 あげているのに対し, Teach Yourself Welsh Grammar は 29 あげているというように。


しかし間違っている箇所があります。  
80ページの数詞99の pedwar/pedair ar bymtheg a deg a phedwar ugain(誤)
                  → pedwar/pedair ar bymtheg a phedwar ugain(正)
133ページの Past tense affirmative forms の fuon chi (誤)→   fuoch chi(正) 。
140ページの Negative form の spoken Welsh の複数形の活用で ddim が抜けている
                do'n ni (誤)→ do'n ni ddim (正) 以下同じ。 
(他にもあったのですがメモをなくしました) これは語学書として多きな欠陥です。


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Teach Yourself Welsh (John T Bowen / T.J. Rhys Jones) 絶版】(192ページ)

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ISBN-10: 0340058293 (中古しか手に入りません)


私が始めて買ったウェールズ語の語学書がこれでした。 1960年初版でそのまま10年たった1971年版を私は買いました。 今の Teach Yourself Welsh と違いコースではなく文法書です。 しかも書き言葉のウェールズ語です。  また本自体が小さく当然それに合わせて活字も小さく, Teach Yourself という名に反して, 独学の友とするにはとっつきが悪すぎます。  絶版ですから, 古本屋でしか手に入りません。 巻末の品詞別(名詞の場合は男性名詞・女性名詞別)の基本単語集は初心者には役立つ付録ですが, これのためにわざわざ買う必要はありません。 


しかし一通り口語のウェールズ語を勉強した場合, この本は興味深くなります。 要領よく文法説明がまとめられて復習の手助けになるということと, 文章のウェールズ語を扱っていることからです。  ただ書き言葉のウェールズ語は『毎日ウェールズ語を話そう』の偶数課で扱っていますから, こちらで間に合わせることができます。  また1960年に初版が出たまま改定されていないことからも記述内容が古すぎる部分があると思います。 


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Teach Yourself World Cultures: Wales(Julie Brake/Christine Jones】(239ページ)

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ISBN-10: 0071444351


これは正確には語学書ではありません。 文化, 歴史, 芸術, スポーツ, 政治, 社会, 経済, 民族性などあらゆる面からウェールズを紹介しています。 12の章から成り, それぞれの最後にウェールズ語の語彙リストと参考サイトや文献が載っています。 しかし地理の項目は4ページだけで各地方の個々の説明はありません。 そして観光案内は皆無。 


ほぼすべて文字情報だけでイラストが5つほどだけ。 写真はまったくありません。 その情報も場合によっては Wikipedia のほうが詳しいくらいです。  特に観光案内的なもの, 各自治体に関しては完全に無視されていますから Wikipedia をはじめとするウェッブ上のサイトの方が断然役立ちます。 日本円にして1,500円くらいの本ですからウェールズに関心のある方が一冊持っていても損はしないかもしれませんが, そうでない方には不要かと思います。

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(注) このコンテンツの作成者はウェールズ語の独学者であり専門家ではありません。