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z129 (10月25日) 人名を使う慣用句(10)


the real McCoy 「本物」


直訳: 本物のマッコイ
例文; You may find many shops where they serve ramen in pork bone soup, but the tonkotsu ramen they serve here is the real McCoy.
豚骨ラーメンを出す店は多いが, ここの豚骨ラーメンは本物だ。





起源について両手分くらいの説がありますが, その中でも Kid McCoy (リング・ネーム =Charles McCoy 本名= Norman Selby : 1872-1940) という伝説的なアメリカ人のボクサーにあるというものが定説化しています。


ある酒場で, 相手がマッコイであることに気づかず, 客がケンカを吹っかけて来たので, マッコイがその客のアゴに一発一撃を与え, 倒れた客に向かって You're the real McCoy, all right. (お前は本当のマッコイだな。) と捨て台詞を言った― それがこの慣用句の起源と言われています。 


しかし語源研究家の William and Mary Morris は地方の町を巡回する見世物のボクシングのボクサーがその当時のチャンピオンの名前をリングネームに使った習慣にあるとしています。 具体的には Jack Dempsey というボクサーが1890年代に The Real McCoy と名乗っていたことを挙げています。


以上はいわばアメリカ人の主張する the real McCoy の起源です。 
イギリス人のマイケル・クィニオン(Michael Quinnion は World Wide Words というサイトで  the real McCoy の起源をスコットランドの MacKay というウィスキーにあるとしています。  


Scottish Natinal Dictionary が 1856年に A drappie o' the real MaKay (本物のマッケイ・ウィスキーの一滴)という用例を載せたのを, 後にそのマッケイ・ウィスキー社が自社のスローガンに使ったのが起こりで, 1883年には Oxford English Dictionary が Robert Louis Stevenson の手紙にある "He's the real MacKay." という文を載せているそうです。


この the real MacKay が, アメリカではボクサーのキッド・マッコイ のそれこそ本物かどうかわからないエピソードと絡みあって the real McCoy になって広まったというのが Michael Quinnion の説です。 





この慣用句の起源が Kid McCoy にあるかどうかは別として, キッド・マッコイというボクサーを調べてみると波乱万丈な生涯であったことがわかりました。 


キッド・マッコイは10代からボクシングで賞金稼ぎをしており, それが kid (子供)というリングネームのいわれになっています。 『コークスクリュー・パンチ』とトリッキーな技で有名で, 中にはこんなエピソードも伝わっています。 


あるとき南太平洋の島に巡業に行き地元の250パウンドのボクサーから試合を挑まれたとき(キッド・マッコイはミドルウェイト級=160パウンドの世界チャンピオンであった), 相手が裸足で闘うのを知って試合当日リンクに画鋲を蒔いたと言うのです。  他に顔に小麦粉を擦りこんで相手側に当日体調が悪いと思わせる戦術を取ったとか, お前の靴の紐が解けていると言って相手が下を向いた瞬間にパンチを食らわせたとか実しやかな話が幾つもあったようです。 上記の慣用句の起源もその1つでしょう。


キッド・マッコイはミドルウェイト級チャンピオンでありながらヘビーウェイト級チャンピオンに挑戦しそれを獲得したように選手として後世に名を残すだけの力がありました。  ただそれだけでなく10回結婚をし, ハリウッドに渡って映画俳優になりチャプリンと親交を結ぶなどリンクの外でもカラフルな人生を送りました。 


しかしその人生も1920年代になると陰りが見え始めます。 飲酒にふけ, 映画俳優としての人気も落ちて来たのです。  一方で女性関係は派手でテレサ・モーズという裕福な既婚女性と不倫関係になり, 彼女は離婚してマッコイと同棲生活を始めます。 


そして1924年8月24日, テレサは頭を撃たれて死んでいるのが発見されます。 行方のわからなかったマッコイは翌朝, 彼女の所有していた骨董品店に行き客や従業員を人質にして立てこもり, 逃げようとした店員の足に銃を撃ち負傷させ人質にパンツを下ろすよう強要するなど狂気な行動を取った末に逮捕されました。


裁判ではテレサが自殺したと主張するものの有罪の判決が下りサン・クエンティン刑務所送りとなります。 1932年に仮釈放されますがその8年後 「全てを手に入れたが, 愛する妻と友人の元に行きたい。 この狂った世界に絶えられない。」という遺書を残して自殺します。