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z085 (08月18日) 食品を使う慣用句(6)


know which side one's bread is buttered on  「抜け目ない,何が自分の利害になるか知っている」


直訳: パンのどちら側にバターが塗ってあるか知っている
例文: He who knows which side his bread is buttered on is a calculating man who can beat any calcuator.
彼は自分の利害にさとい人間とはどんな計算機も負かすことのできる計算高い人間のこと。


know on which side one's bread is buttered  とすることもあり, こちらの方が John Haywood が編さんした Proverbs (1546年)にある I knowe on whiche syde my breade is buttred に近い形です。 
何もない側よりバターがついている側のほうがおいしいことから, オイシイ話に目ざとい人を表す諺・慣用句となりました。


日本語には「食パン」というパンがあります。 それはふつう4枚切りとか6枚切りとか8枚切りに最初からスライスされている, 四角い形のパンです。 今回の慣用句のように, パンのどちらかの側にバターを塗るという行為から日本人が連想するパンは, この「食パン」でしょう。
しかし欧米のパンというと塊になってそれを切って食べるものです。 この慣用句の bread もはきれいに薄くスライスされているパンでなく, 大きな塊を適当な厚さに切ったものでしょう。





さてここから先は, 直接今回の慣用句とは関係がありません。 ただ私個人がふと知りたくなって調べた「食パン」の起源についての考察です。 


「食パン」という名前の起源には次の2つの説があるようです。 
一つは鉛筆でデッサンする際に使われている「消しパン」に対して食べるパンだから「食パン」とする説。
もう一つは「主食用パン」の省略とする説。


どちらの方が説得力があるか(もしくは正解か)と考えると, 私は後者の「主食用パン」説に軍配を上げます。


前者の説は一瞬「へえー」という驚きがありおもしろい説ですが, よく考えると変です。 あるものに名前をつけると言うことは, それらを区別するものがあるからそうするのです。 「食パン」も何かと区別するために「『食』パン」としたのです。 ではそれが「消しパン」と区別するためであるとしてよいのでしょうか。 これは疑問があります。


理由1― それほど「消しパン」というのが一般的でしょうか? もし昔消しゴムがなく事務や勉強で「消しパン」を使っていたなら納得できます。 しかし画家や画学生しか「消しパン」を使っていなかったのですから, わざわざ「食パン」という語を作り, 2つを対等に並べる必要はないでしょう。 
理由2― 「食べるパン」が先にあってそのパン屑を「消しパン」にしているのであり, 製造過程において「食パン」と「消しパン」を分けていないということ。 あくまでも「消しパン」は「食(べる)パン」の下位にあるもので, やはり「食(べる)パン」対「消しパン」という対等の関係に並べて区別するのはおかしいでしょう。


一方, 「主食用パン」を短くした「食パン」説の方は, 「主食用パン」にと対等の関係にある「パン」があるから成立します。 その「食パン」の対語は何かと言えば「菓子パン」です。 
最初からスライスされている, ごはん代わりの「主食用パン」すなわち「食パン」と, おやつ用の「菓子パン」―  スーパーやコンビニのパン売り場でおなじみのこの分類は, ご飯文化日本の独自のパンの分類法です。  この「主食用パン」vs「菓子パン」という関係をみれば「食パン」が「主食用パン」を語源にしていると考える方が説得力があると思います。 「消しパン」説はいわゆる popular etymology (通俗語源説)として排除してよいのではないかと思います。