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z060 (07月24日) 「噂」に関する慣用句(2)


I heard it through the grapevine. 「口コミ/秘密情報網で噂を聞いた」


直訳: ブドウのつるを通してそれを聞いた。


前回の A little bird told me のイタリア語 Me l'ha detto l'uccellino を検索したらこんな歌詞の1節がありました。
Mi e' giunta voce
Che non sarai mia per molto tempo ancora
Me lo ha detto l'uccellino
Sono sul punto di impazzire
ボクに声が届いた。
君は近々ボクの彼女じゃなくなるって。
それは小鳥がボクに教えてくれた(噂でボクは聞いた)。
ボクはもう気が狂う寸前だ。


これは1968年にヒットしたR&Bの名作マービン・ゲイ(Marvin Gaye) の I Heard It Through The Grapevine (邦題:悲しいうわさ)のイタリア語訳です。 それで私は遠い昔の自分を思い出しました。 当時中学生であった私, 洋楽ポップスに夢中で, 意味不明の歌のタイトルをみつけては英和辞典をひきひき意味を調べていたのです。 この I Heard It Through The Grapevine もその対象でした。 だから中学生にしてこのような古風な英語の慣用句を知ったわけです。 


ちなみにこの歌は60年代のR&Bのヒット・メーカー,モータウン・レコードの Lamont Dozier, Brian Holland, Eddie Holland (通称Holland-Dozier-Holland)による作品。 本来はグラディス・ナイト&ピップスに作った曲で, 後にクリーデンス・クリアウォータ・リバイバルもレコーディングしていますが, マービン・ゲイ盤は7週間全米ヒット・チャートの第1位であったことからわかるように, もっとも知られているバージョンです。 (30秒試聴


ネット上に浮いている歌詞サイトによる歌詞は以下の通り。 太字は試聴の部分にあたります。


Bet you're wondering how I knew
'Bout your plans to make me blue
With some other guy that you knew before
Between the two of us guys you know I love you more
It took me by surprise I must say
When I found out yesterday,

きっと君はボクがどうして知ったのかと思ってるだろうね。
ボクをがっくりさせようという君の企てを。
昔の彼氏だとかいうヤツとグルになってるんだね。
そいつとボクを比べたらボクの方が君をもっと愛してるのに。
本当にびっくり仰天だった。
君の企てを昨日知ったとき。



Don't you know that
I heard it through the grapevine?
Not much longer would you be mine
Oh, I heard it through the grapevine
Oh I'm just about to lose my mind
Honey, honey, well?

知らないのかい
ボクが秘密情報で聞いたってこと。
近いうちに君はボクの彼女じゃなくなるって?
そんな噂を聞いて
ボクは頭がおかしくなりそうだ。
ハニー ハニー, ねえ。。。



You know that a man ain't supposed to cry
But these tears I can't hold inside
Losin' you would end my life, you see
'Cause you mean that much to me
You could have told me yourself
That you found someone else, instead
そりや,男は泣くもんじゃない。
でもこの涙を押さえることができないんだ。
君を失うってことはボクの人生の終わり。
君はボクにとってとても大切な人。
もっと早く君の口から教えてくれることもできたのに。
別の相手が見つかったってことを。


People say believe half of what you see
Son, and none of what you hear
I can't help bein' confused
If it's true please won't you tell me dear
Do you plan to let me go
For the other guy that you knew before
みんなはこんなこと言うんだ。 「見たものの半分信じるんだね。
噂なんか信じちゃいけない」って。
ボクの頭はぐちゃぐちゃになってる。
もし本当ならそう言ってくれないか。
ボクをお払い箱にするつもり?
元カレと付き合うために。


I heard it through the grapevine
Not much longer would you be mine
Oo, I heard it through the grapevine
And I'm just about to lose my mind
Honey, honey yeah
噂で聞いたけれど
近いうちに君はボクの彼女じゃなくなるって?
その噂で聞いて
ボクは理性を失いそうだ。
ハニー ハニー。
(私訳)






恐らく知っている人の方が少ないと思われるなつメロの歌詞を長々と引用してしまいました。  ここでこの変わった慣用句の起源に移りましょう。
grapevine を辞書で引くと定冠詞つきの the grapevine で「地下情報ルート, 口コミ, 口コミの(眉唾物の)噂」という意味があることがわかります。 なぜ「ブドウのつる」がこのような意味になるのでしょうか。


この慣用句はサムエル・モールス(1791-1872)による電信符号に関係があるようです。 トン・ツー・トンという具合に dot と dash の組み合わせで情報を伝えるモールス信号が初めて使われたのは1845年。  アメリカのワシントン市とバルチモア市の間で行われてからこの新しい情報伝達手段は急速に普及します。 そしてその電線が電柱にこびりついている様から grapevine telegraph 「ブドウのつる電信」とあだ名がつきました。 


ただこれだけでは grapevine が「うわさ」と結びつきません。 これが結びつくのは grapevine telegraph という語が生まれてから10年以上経った南北戦争(1861 -65)の時代です。 このころモールス信号はかなり普及し, 個人同士の情報交換の手段になっていました  戦況についてもいろいろな情報が交錯したわけですが, 中には怪しげなものも含まれていました。 ちょうどブドウのつるが tortuous (曲がりくねっている)ように情報も tortuous (人を騙すような)ものもあり信用できない― という意味も含め, grapevine に「口コミ, 秘密情報源のうわさ, 当てにならないうわさ」という意味が付加されるようになったのです。