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z032 (06月26日) be born with a silver spoon in one's mouth 「生まれながらに金持ち」
                       


直訳: 「口に銀のスプーンを入れて生まれる」
例文: Woodstock Music and Art Fair took place in 1969 because there were two young men named John Roberts and Joel Rosenman, who were born with a silver spoon in his mouth.
1969年ウッドストック音楽祭が行われたのは生まれながらに金のある二人の青年,ジョン・ロバーツとジョエル・ローゼンマンがいたからだ。


セルバンテスの『ドン・キホーテ』の Peter Motteux による訳本(1712)から生まれた慣用句。 ウエッブ上にある複数の『ドン・キホーテ』の全文英訳サイトのサイト内検索で調べましたがどこの部分からの引用かわかりませんでした。 サイト内検索をしても― 私のサイトもそうですが― 必ずしもすべての語句がヒットされるとは限らず, 引用部を探すならサイト内の全文をエディターにコピペしてエディタによる検索に頼るのがベストです。  でも第1部第2部合わせて125章ある作品に対してそのような作業をする時間が今の私にはなく, 今回は断念しました。 (このような作業ができる方がおられたらぜひやってみてその結果をお知らせください。) 






昔,ヨーロッパでは子供が生まれると名付け親(godfather)が洗礼式に12人の使徒に因み12本のスプーンを贈ったそうで, ふつうは木製のスプーンが, 裕福な名付け親ですと銀のスプーンが用意されることもあったということです。 


ここで「生まれながらに運がいい,恵まれた家系に生まれる」にあたる他のヨーロッパ諸語の慣用句・ことわざを見てみましょう。


まず英語の元になったと言われている『ドン・キホーテ』の故郷スペインから。 
スペイン語 nacer en cuna de oro  「金のゆりかごの中で生まれる」
cuna は比喩として「生まれ」「家族」の意味もあるようです。
スペイン語 nacer con un pan bajo el brazo 「パンを抱えて生まれる」
『ドン・キホーテ』の引用が見つからないかと思い with a silver spoon in one's mouth をそのままスペイン語に訳して con una cuchara de plata en la boca として検索してみたらいくつかヒットしました。  でもこれが一般的なスペイン語の表現なのか, それとも私がしたように単純に英語をスペイン語に訳しただけなのか, ここに現れたわずかな用例からはわかりません。  
フランス語 être né coiffé  「大網膜をかぶって生まれる」
coiffé は本来「髪を結って,(帽子を)かぶって」という意味の形容詞。 
大網膜(英語で caul) は出生時に新生児の頭を覆っていることのある羊膜の一部で, 吉兆の印とされていました。 特に水難にならないという俗信があったようです。
イタリア語  essere nato(nascere) con la camicia 「シャツを着て生まれる」
    『現代伊和熟語大辞典』(武田正寛編 日外アソシエーツ)によると昔は下層階級の赤ん坊は間引きのために殺されたり捨てられたりしたが, 上流階級の赤ん坊は産着を着せてもらい可愛がられたといた―というのが起源のようです。  なお和伊辞典によると「産着」自体は vestitino di un neonato と言うようです。
イタリア語 nascere sotto la buona stella  「良い星の下に生まれる」
 英語の be born under a lucky star にあたる表現
ポルトガル語  nascer em berço de ouro 「金のゆりかごの中でうまれる」
スペイン語と同じ。
ドイツ語 mit einem silbernen Löffel im Mund geboren sein 
   「口に銀のスプーンをくわえて生まれる」 
これは英語と同じ。 ただ手もとの独和辞典には in Mund  がありません。 どちらにせよ検索するとヒット数はかなり少なく一般的ではないのかもしれません。 これよりも
ドイツ語 ein Sonntagskind sein 「日曜日の子供だ」
の方が ヒット数は多いです。 
これと英語の子守唄の一つ Monday's child is fair of face と比べると面白いと思います。
Monday's child is fair of face.
Tuesday's child is full of grace.
Wednesday's child is full of woe.
Thursday's child has far to go.
Friday's child is loving and giving.
Saturday's child works hard for a living.
But the child born on the Sabbath day,
Is fair and wise and good and gay.
(私訳)
月曜日の子供は器量良し
火曜日の子供はおしとやか
水曜日の子供は悲しくて
木曜日の子供は旅に出る
金曜日の子供は温かく
土曜日の子供は働き者
でも安息日に生まれた子供は
きれいで賢くよい子で陽気。 
(gay を「陽気」で使うのは古語的。 現代なら同性愛者の意味にとるのがふつう)
他にも以下のバリエーションがあるようですがこちらは検索のヒット数から見て少数派。
Sunday's child is full of grace,
Monday's child is full in the face,
Tuesday's child is solemn and sad,
Wednesday's child is merry and glad,
Thursday's child is inclined to thieving,
Friday's child is free in giving,
And Saturday's child works hard for a living.
オランダ語  met de helm geboren zijn 「大網膜をかぶってうまれる」
フランス語と同じ。
オランダ語 een Zondagskind zijn 「日曜日の子供だ」
ドイツ語と同じ。
デンマーク語 fødes med en sølvske i munden
       「口に銀のスプーンをくわえて生まれる」
英語・ドイツ語と同じ。
ロシア語 родиться в сорочке「大網膜の中で生まれる」
フランス語と同じ。 ただ сорочка は「シャツ」が第1義。 するとイタリア語の camicia と同じになります。 
ロシア語 родиться в рубашке 「肌着,シャツを着て生まれる」
これもイタリア語の慣用句 と通じるところがあります。
ポーランド語 rodzi sie za srebna 「銀とともに生まれる」