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076 (高) cheek 「ほほ」 jaw 「あご」 chin 「下あごの先」 言語によってカラダの部位を表す語に微妙な違いが存在することがあります。 口の周りに関すれば日本語と英語を含むヨーロッパ諸語の場合, 英語の chin にあたる語が日本語には欠落しています。 chin は jaw 「あご」の一部で「下あごの先」の部分を指します。 このように「あご」と「下あごの先」の部分を表す語があるのは英語に限らずゲルマン諸語,ロマンス諸語, スラブ諸語などヨーロッパの諸言語に共通しています。 韓国語の場合も日本語と同じく chin を区別することなく「あご」を[トッ(ク)]と言い, chin をしいて訳すには「あごの先」という意味の複合語[トックッ(ト)]と表すようです。 中国語の場合も jaw は「顎」「下巴」, chin は「下巴」か「下顎」と言うようで, 事情は日本語や韓国語と同じようなもののように思えます。 ヨーロッパ諸語(さらにアラビア語やヘブライ語のようなセム諸語も)で jaw と chin を区別するのは, 東洋人と顔の作りが違うことと関係があるでしょう。 東洋人の顔が, よく言えば優しく穏やかに見え悪く言えば意志薄弱に見えるのは chin が突き出てくっきり見えないことにあるように感じます。 事実, 英語では have a strong chin というと意志や決断力の強い人を示唆し, thrush(stick) one's chin (あごの先を突き出す)というのは「挑戦的な(高慢な)態度」を象徴し, Keep your chin up. (あごの先を上に向けていろ)というと「苦しみに負けるな。 元気を出して行け。」という励まし・叱咤の言葉になります。 さてここで英語とゲルマン諸語それにフランス語の「ほほ」「あご」「下あごの先」を比べてみることにします。
英語の「ほほ」とオランダ語の「あご」の語源は西ゲルマン祖語の *kaukon でこれは「あご, あご骨」と「口の回りの肉付きの良い部分」の両方の意味がありました。 英語は後者, オランダ語は前者の意味で受け継ぎました。 (ドイツ語やスカンジナビア諸語の「あご」も *kaukon となにかしら関係があると思います。) 英語の「あご」は古フランス語の「ほほ」を意味する joue を借用し, これは現在もフランス語では「ほほ」を意味します。 古英語では「あご」は ceace または ceafl と言ったようです。 英語の「下あごの先」は古英語では cin で, これは「下あごの先」「あご骨」を意味する印欧祖語の *genw から来ています。 (「かじる」の gnaw とこの印欧祖語は関係があるのではないかと推測します。) 英独蘭の西ゲルマン諸語は「下あごの先」の意味に, スカンジナビア諸語は「あご」でこの印欧祖語を受け継いでいます。 |
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