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ぶらりボキャブラ散歩
 気まぐれ英単語 


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アトランダムに単語を選択, 時に学校英語・受験英語的に, 時にトリビアにアプローチ。 しかも気が向いたときだけ更新して行く--だから気まぐれ英単語。 
でも単語暗記の手助けになると思います。 兄弟版ひとことENGLISHへと同様,ご活用ください。
(中)は中学生レベルの語, (高)は高校生レベルの語, (般)はその他の語を表します。

                
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015 (般) flamenco  「フラメンコ」 


科学界には2人の有名なフレミング博士がいます。 1人はイギリスの電気工学者でフレミングの法則で有名な Sir John Ambrose Fleming (1849-1945) もう1人はペニシリンの発見でノーベル生理学・医学賞を受賞した細菌学者の Sir Alexander Fleming (1881-1955)。


フレミング(Fleming)は日本では「フランダースの犬」で有名なベルギー北部フランダース地方(Flanders)の人(=フラマン人)ということなのですが,  このフレミングとスペインの民族舞踊フラメンコ(flamenco) がリンクされているということをご存知でしょうか。


フランダース地方のあるネーデルラントは15世紀終わりハプスブルグ家出身者の治める神聖ローマ帝国のもとにありました。  一方スペインも1516年にハプスブルグ家の支配下に入ります。 こうしてフランダース地方とスペインはハプスブルグ家を通して結びつくことになるのです。


ハプスブルグ家がスペインやフランダース地方などを領土としていたころの
ヨーロッパ (1519年)
紫色がハプスブルグ家の領土。 黄色い○で囲んであるのがフランダース地方。



ではフランダース地方とフラメンコはどうしてつながるのでしょうか。
それはハプスルブルグ家出身のスペイン国王カルロス1世(1516−56在位)が― 王は神聖ローマ帝国皇帝カール5世(1519-56在位)でもあったのですが― フランダースからスペインに派遣した大臣と関係します。 この大臣たちはスペインの人々には評判が悪く, 陰で悪口を叩かれていたようなのです。  たぶんゲルマン系の几帳面さがラテン系のスペイン人とは折り合いが悪かったのではないかと想像します。


ちょうどこのころヨーロッパの各地をジプシーが旅をしていました。 スペイン人たちは, この出自不明の得体の知れない流浪の民を, さげすむ意味も込め, フランダース出身者(flamenco)と呼んだのです。 後に彼らはエジプト出身と見なされスペイン語では gitano (英語の gypsy も Egyptian のくずれたもの) と呼ばれるようになりますが, アンダルシア地方で発達したジプシー起源の独特の踊りだけは flamenco のまま残ったと言うわけなのです。
ジプシーの出生の地はインド西部からパキスタン付近で, 11世紀の始め, イスラム教徒がインド大陸に進行して来たときにインド各地から集められた兵士がそのルーツと見なされているようです。 彼らやその末裔が西進してイスラム教徒と戦ううちに独自の集団と文化を築いて行ったと考えられているようです。 彼らがヨーロッパへ渡って来たのは14世紀ころとされています。 また一方9世紀にはすでにビザンツ帝国に現れていたと見る学者もいます。



なおスペイン語では flamenco は踊りの「フラメンコ」だけでなく鳥の「フラミンゴ」も意味します。 ただしこちらは英語の flame 「炎」と同じ語源で, 飛ぶ時の羽の鮮やかなピンク色からそのように名付けられたようです。 英語の flamingo 「フラミンゴ」はスペイン語ではなくポルトガル語から来ています。


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