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ぶらりボキャブラ散歩 気まぐれ英単語 アーカイブス(全ファイル一覧)
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009 (中) enjoy 「楽しむ」 付:高校生・一般向け英和辞典について 私は中高生のとき毎月旺文社から発売される英語学習雑誌『百万人の英語』を買い, これを切抜き製本(というほとでもないけれど)して参考書代わりにしていました。 今思うとそんなことが現在このホームページ作りをしている自分の中で再現されているのかもしれません。 さて, その切りぬきの中に「英語で文を作るとき動詞に困ったら3つの動詞を使いなさい」という記事がありました。 しかし, とうの昔のこと, 残念ながらその3つの動詞のうちの一つだけしか記憶していません。 が, ともかくその唯一, 覚えているのが動詞が今回の enjoy なのです。 英語で文を作るとき動詞に困ったら enjoy を使うというのは, 例えば「彼は子供の頃柔道をしていた。」を英語にするとき, 「柔道をする」というのは play judo? do judo? などと迷った時(practice judo が一般的です) enjoy を使って He enjoyed judo in his childhood. とすればよい,ということなのです。 この調子で「折り紙をおる」 enjoy origami 「散歩をする」 enjoy walking 「コーヒーを飲む」 enjoy coffee 「新鮮な空気をおもいっきり吸う」 enjoy fresh air と何でも enjoy してしまえば急場はしのげるし, しかも「掃除をする」 enjoy cleaning 「宿題をする」 enjoy one's homework 「待ちぼうけを食う」 enjoy waiting という具合に嫌なこともすべて enjoy で済ますので性格も明るくなるという, ネクラな少年であった私には目から鱗の教えでした。 さて話は私が英語塾を始めてからのことに移ります。 授業である高校生に We are all equal under the law and should equally enjoy the rights. を訳させたところ,「私たちはみな法の下では平等で, 平等に権利を楽しむべきだ。」と言いました。 「その『楽しむ』は『享受する』がいい。」 と指摘すると,彼は「はあ。。」という顔をします。 「享受」と言う言葉を知らないようなのでジーニアス英和辞典を引いて,「ほら」と見せようとしたところ enjoy の項に「享受する」という言葉が見えません。 私自身, 「享受」と言う言葉は enjoy の訳で知りましたし,日本国憲法前文にも「その(=国政の)権力は国民の代表者がこれを行使し, その福利は国民がこれを享受する。」とあります。 こんな大事な訳語がジーニアスから欠落していたのです。 そこで他の英和辞典(新グローバル英和辞典)にあたったところ, enjoy に「享受する」が載っています。 さらにこの辞書にはアメリカ人が好きな Enjoy! という自動詞の会話表現も掲載されています。 ジーニアス英和辞典は語法の詳しさがウリなので, さすがに細々と語法の説明が書いてありますが, 訳語や例文はその分貧弱な感がします。 また小さい活字でぎっしり情報が詰めこんであり, 読みづらい辞書です。 印象は冷たく "user-unfriendly"で bookish 。 ヒマにまかせてページをめくって「辞書を読む」という気にはなれません。 一方, 新グローバル英和辞典は日本語の訳語が豊富なので, 日本語の語彙数の少ない高校生や一般人には助けになるでしょう。 また, 現代的な会話・口語表現に強く, コーパス[=例文の参考資料]で定評のあるロングマン英英辞典のような生き生きした例文が多く, 活字の大きさや語源を記載しているところなど例文も豊富で全体に言葉の学習を多角的に支え enjoy させる姿勢が見えます。 語法の説明も, 多からず少なからずでちょうど適当な量です。 今度は feat という語で比べてみると, ジーニアス英和辞典と比べ新グローバル英和辞典が訳語, 用例を重視していることがわかるし, 適当な訳語にたどりやすいという印象を持つと思います。 別にジーニアスをけなして, グローバルを立てている意図はありません。 辞書にはそれぞれ特徴があるのでそれを考慮して選択すべきで, 書店の売り場に山積みになっていたからとか, 先生に薦められたからという理由で選ばず, 自分の目で確かめて買った方がよいということを言いたいのです。 なおジーニアスの名誉のために記しますが, 現在書店に出まわっている版では enjoy には「享受する」の意味が掲載されています。 ただし feat の扱いは変りません。 |
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